研究内容

眼に飛び込んでくる外界の世界にはいろいろな情報が含まれています.形や色,文字や映像などの視覚情報を生き物が有効に使うためには,眼球が正しく動き,脳が視覚情報を分析しなくてはなりません.その過程を調べることで,視覚情報に対する生体の反応特性,脳の機能,延いてはからだ全体の状態をモニタしようとしています.実験はヒトや動物を対象として,脳や眼球,心拍や血圧などの神経・生理的指標を計測します.そこから体の情報を分析して健康や生活の安全に役立てる研究をします.本学医学部や他大学の先生との共同研究を多く実施しています.

以下の研究に興味があって質問のある学生さんは,E-mail下さい.また,大学院の進学を希望される学外の方などいらっしゃいましたらご検討下さい.
いろいろやっていますので,どれか一つでも興味があればぜひご連絡下さい.

視覚情報と脳,生体との関係をしらべる

1. 脳内における文字情報の処理と認知のメカニズムをさぐる

私たちは図形や文字を見てそれを認識します.それらが脳内のどこでどのように処理されているのか,
図形文字を使って調べます.ヒトと動物実験により脳の電気活動,機能画像を解析します.
MEG(脳磁図)やfMRI,ECoG(皮質脳波)などの方法を用います.脳の前頭葉や側頭葉をターゲットにしています.
医学部生理学第一教室,学外病院・研究所との共同研究.

2. 視覚情報の解読によるブレイン・マシーン・インタフェース(BMI)のリアルタイム化

物体を見たときの脳活動を解読し,機械やコンピュータを動かすことができるBMIの実現を目指しています.視覚情報に基づくBMIのリアルタイム化に取り組みます.
医学部生理学第一教室,他大学・研究所との共同研究.

3. 映像がからだに与える効果・影響をしらべる(映像の生体影響“映像酔い”の研究)

映像は私たちにとって身近ですが,手ブレがひどい映像をみると,頭痛や吐き気など乗り物酔いに似た『映像酔い』が発症することがあります.映像酔いがどのようにして起こるのか,またどのように対策すればよいのか,生理学的・工学的手法を用いて調べています.
NPO法人映像評価機構,東北大,福島大,筑波大,埼玉医大,産総研などと共同研究.
福祉人間工学科木竜研,岩城研と共同研究.
(財)機械システム振興協会による助成を受けています.

眼球運動・瞳孔計測と病気の診断,健康状態の把握

4. ストレスを測る

現代社会で私たちの健康を脅かすストレス状態を,瞳孔反応や心電図や血圧計測に基づく自律神経系の解析から推定する方法を検討しています.
NPO法人映像評価機構,東北大,福島大,筑波大,埼玉医大,岐阜大などと共同研究.
福祉人間工学科木竜研と共同研究.
(財)機械システム振興協会による助成を受けています.

5. 中枢神経系疾患,精神疾患の診断法の検討

これまでに希釈した散瞳剤に対する反応の強弱を測定することでアルツハイマー病の早期診断法を検討しました.瞳孔反応,眼球運動の異常からパーキンソン病や脊髄小脳疾患の診断,パニック障害の診断など,神経・精神に関わる病気の診断をサポートする方法を検討します.
医学部眼科学教室,学外病院と共同研究.

眼球・瞳孔をきれいに撮影する機器の開発

6. ゴーグル型眼球撮影システムの開発

近年,眼球運動計測には画像(ビデオ)による方法が普及してきました.簡便で軽量なゴーグルタイプは被験者の負担も少なく,臨床診断や検査,研究で広く使われています.ヘッドマウントディスプレイを搭載し,様々な眼球運動検査や瞳孔の対光反射を測定できる装置を作っています.

7. ラットの瞳孔計測(ヒト以外の瞳孔撮像プロジェクト)

ラットなどの小動物の眼球撮影は特殊な光学系と照明装置によって実現します.従来はクリアに撮像できなかったアルビノ系ラット(赤眼の白ネズミ)の瞳孔を鮮明にとらえ,ラットの瞳孔反応を調べています.
(株)ニューオプトと共同研究.

ページトップへ